「トランペットを吹き続けるために」

下野市立国分寺中学校三年 栗原 杏実

 私は、吹奏楽部でトランペットを吹いています。トランペットには、舌と歯を使って音を出す「タンギング」という技法があり、トランペット奏者にとって歯は、なくてはならない楽器の一部なのです。
 ジャズトランペット奏者の日野皓正氏は、「唇の格好と歯の形が良ければ、トランペットの音が鳴りやすい。しかし、歯が折れたり、歯の位置が何ミリかずれたり、歯の厚みがほんの少し変わったりするだけで、音が上手に出なくなる。そのため、歯の健康状態には十分気をつけている。」と話しています。
 また、私が尊敬しているトランペット奏者アドルフ・ハーセス氏は、八十才で引退するまでの五十三年間、シカゴ交響楽団の首席トランペット奏者を務め、引退した今でもトランペットを吹き続けているそうです。
 では、なぜハーセス氏は八十才を過ぎるまでトランペットを吹き続けることができたのでしょうか。それは、トランペット奏者には無くてはならない、健康な歯を持ち続けたからなのです。
 しかし、今までの自分はどうだっただろうか。毎日の歯磨きを、ただの習慣としか考えず、なおざりに歯を磨いていなかっただろうか。また、歯を無くした不自由さを深く考えたことがあっただろうか。
 歯がなくなると、言葉がしゃべりにくくなります。また、奥歯がなくなると、食べ物をすりつぶすことができず、いつになっても食べ物を飲み込むことができなくなります。そのうえ、噛み方がおかしくなって、あごの関節がいたくなることがあるそうです。さらに、トランペット奏者として考えると、もし、前歯を失ってしまったら、「タンギング」という奏法ができず、トランペットで音をはっきり出すことができなくなってしまいます。
 こうして、改めて歯を失ったときのことを考えると、日常生活や部活動などに、深刻な影響を及ぼし、自分自身が辛い思いをするのは明らかです。
 私は小さい頃、乳歯がむし歯だらけで、何度も治療に通いました。乳歯は生え替わりますが、永久歯はもう生え替わることはありません。私たちの歯は、気付かないうちにむし歯が進行したり、わずかずつでもすり減っていくものです。できることなら、自分の歯を一生つかっていきたいし、それには、どうすべきかを真剣に考えなければいけません。だからこそ、「歯を磨くのだ」という意識から、「歯を守るのだ」という意識に変えることが大切だと思います。
 これからは、大好きなトランペットを、いつまでも吹き続けられるように、歯と歯ぐきのことに関心を持ち、磨き方を研究し、定期的に歯科検診を受け、自分の歯を一生守り続けたいと思います。

一覧へ戻る

ページの先頭へ

一般社団法人
栃木県歯科医師会

〒320-0047
栃木県宇都宮市一の沢2丁目2番5号
TEL:028-648-0471
FAX:028-648-8149