栃木市立寺尾中学校三年 池沢 智穂実
「痛たたた……。」
国語の授業中、黒板を書いていたE先生が辛そうにほおを押さえていました。
「昨日から、急に痛くなってさ。夕べは痛くて眠れなかったよ。歯医者さんは、どこも予約でいっぱいだし……。」
先生の話を聞いていて、私は人ごととは思えませんでした。虫歯って忙しかったり、疲れているときに突然痛くなるように思います。私も、去年の期末テストの前の晩に突然痛くなって大変な思いをしたからです。先生の様子を見ていて、そのときのことが昨日のことのように思い出されました。
歯の痛みは、頭にまでずきんずきんと来て何も手につかなくなります。脈拍と同じ周期で襲われる痛みは、テスト勉強どころではありません。ただ、ただ、痛みに耐えるだけです。
翌日のテストは、とりあえず受けるだけ受けたという感じでした。私は祖母に連れられ歯医者さんに行きました。
「○○ちゃーん。」と呼ばれ、診察室に入りました。椅子が倒され、キーンという不快な音、そしてときおり走る鋭い痛み。いつのまにか目には涙がたまってしまいます。
「痛かったら、言ってね。」とお医者さんは優しく気遣ってくれますが、最初から痛いのでこの状況をどう伝えたらよいか分からず、結局我慢するしかありませんでした。
キーン……容赦なく治療は続きます。虫歯には、治療前も治療中も苦しめられました。
現在、私には虫歯がありません。あんな思いは、二度としたくないので今までよりずっと時間をかけて丁寧に歯を磨いています。
歯の痛みに耐えながら授業をやっていた先生の気持ちは、よく分かります。歯が痛いと“やる気”そして“食欲”まで失われてしまいます。歯と、体と、心はつながっているのだと思います。
皆さんには虫歯がありますか?あまりうまくない例えですが、雑巾掛けを一日さぼってしまったら、ほこりがその分だけたまってしまいます。きちんと隅々まで磨かなかったらやはりほこりがたまります。歯磨きだって同じだと思います。毎日、きちんと磨くことが大切だと思います。
虫歯は、自然治癒ということはありません。でも、自分の毎日の心がけで健康な歯は維持できるのです。皆さんにも、自分の歯磨きの習慣を見直してほしいと思います。
E先生は、土曜日まで我慢して歯医者さんに行ったそうです。いつも笑顔の先生があんな辛そうな顔をしていたので、きっと大変だったと思います。
E先生、毎日私たちのために楽しい授業をありがとうございます。でも、どんなに忙しくても自分の歯は、自分が大切にしてあげなくてはいけませんよ!