歯の大切さ

栃木市立東陽中学校三年 磯部 菜月

 「入れ歯だから、おいしい料理も本物の味が分からないんだよ。」
たしかに、祖母の歯は入れ歯です。でも普段は何も言わないで食事をしている祖母の口から出た言葉は、思ってもいないことでした。それまで、祖母は、年をとったから入れ歯になったのだと知ってはいても、何の関心もありませんでした。しかし、「食べ物の味が変わる」「本物の味が分からない」と聞いたときから、自分の歯の大切さについて考えるようになりました。
 こんなことがあるまでの私は、食後すぐに歯磨きをするよう親から言われても、うるさく感じて、すぐには磨こうとしないときもありました。しかし、今では朝晩はもちろん、なるべく給食後にも磨くようにしています。
 また、磨くだけでなく丈夫な歯になるように、食事をするときは食べ物をよく噛むように心がけています。これは、
「食べ物をよく噛んで食べると、脳に元気を与えて活発に働けるようになるよ。」
と、母に言われたからです。特に朝は、なかなかゆっくり食事をとることができませんでしたが、ご飯をよく噛むことによって、脳も活性化するのならと実践しています。最近は、
「慌てないでよく噛んで食べよう。」
「ゆっくりよく噛んで食べたら元気が出てきたよ。」
など、歯についての会話も増えたように思います。また、母は、私が幼い頃のことを思いだして、歯磨きが面倒くさいとすねていて、私の歯を磨くのが毎晩大変だった、とも言っていました。親の毎日の苦労があったからこそ、私の歯は、虫歯にならずにすんだのだと思います。
 もう一つ、歯について考えさせられる出来事がありました。小学校の時には、歯科検診で虫歯があるかないかだけが気になっていました。しかし、中学一年の歯科検診で、初めて歯並びのことを指摘され、矯正をするかどうか考えることになりました。歯医者さんに相談したところ、私の歯並び程度ではどちらでもよいと言われ、矯正はしないことにしました。その代わり、歯医者さんで歯磨きのやり方をしっかりと教えてもらいました。
 歯について考えるきっかけをくれた祖母・母・そして歯科検診。このことがあったからこそ、今、歯を大事にしようと心がけるようになったのだと思います。いつも、元気なことが当たり前のような自分の体の一部でしかなかった「歯」でしたが、当たり前ではなかったのです。今まで以上に、これからも自分の歯を大切に、丈夫な歯でいつまでもおいしく食べられるよう歯磨きも、よく噛むことも続けていきたいと思っています。

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